和子 評伝(十二) | 評論をまじえた伝記 |
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一二 梅との出会い |
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内閣総理大臣賞を受賞した昭和五九年、和子は七回世田谷展に『野』、五回現代女 | ||
流美術展に『初秋』、八回清潮会に『黄百合と瓶子』、一二回旦虹会に『盛花』、二 | ||
〇回飛鳥会に『小春日和』、二〇回悠々会に『かごに筍』、三三回五都展に『黄牡丹 | ||
と瓶子』を出品しました。 | ||
翌六〇年、四〇回春季展に出品した『古木に出た紅梅の芽』は、湯島天神のわらに包 | ||
まれた老梅を描いた作品で、以降一連の梅シリーズを描くむきっかけとなった一作で | ||
した。この年の七〇回院展には『暮色白梅』を発表。優美に枝を広げる月夜の白梅 | ||
に、直線の添え木を配したこの作品は、自らの新たな画境を拓いた秀作であり、現在 | ||
世田谷美術館に収蔵されています。同年、院展受賞作家新作展に『瓶花―紅白南天』 | ||
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一回龍生会に『一枝の梅』、第九回清潮会に『金蘭手と菊』、一三回旦虹会『白梅』 | ||
二一回悠々会に『茶の花と瓶』、三四回五都展に『紅梅』を出品。 | ||
同年、【美術の窓】(一一月発行)「再興第七〇回院展」や、【三彩】(一〇月一日 | ||
発行)「再興第七〇回院展をみて」に、また【北国新聞】(一一月一五日)「院展金 | ||
沢展」などに、和子の近作は紹介されました。 | ||
昭和六一年は、五回女流画家展に『寒梅』、四一回春の院展には外務省が買いあげ | ||
た『春色』、七一回院展には愛知県美術館に収められた『気』、一回燦光会に『新 | ||
春』、一回現美展に『淡紅梅』、二回龍生会に『初春』、青径会‘86に『一輪の玉 | ||
椿』、一〇回清潮会に『紅白牡丹とマジョリカ壺』、一四回旦虹会に『紅梅』を出品 | ||
しました。この年、画集「現代女流画家素描集 花」、「現代女流画家素描集 静 | ||
物・風景」(共に日本経済新聞社発行)が刊行され、和子の作品が掲載されました。 | ||
広がりのある画面と透き通るような色調で描こうとしたこのころの作品は、色を取っ | ||
た黒色の基調を特徴としています。 | ||
翌六二年は、六回女流画家展に『一本の梅樹』、二回現美展に『紅白梅と丸卓』、 | ||
四二回春の院展に『明』(埼玉県立近代美術館蔵)、七二回院展に『寒月』(世田谷 | ||
美術館蔵)、三回龍生会展に『花とキプロス壺』、第二回燦光会に『紅白胡蝶蘭』、 | ||
一一回清潮会に『菖蒲』、二三回悠々会に『紅梅と瓶』を出品。一五回旦虹会には、 | ||
父の郷里富山県小杉町(現射水市)の伝統陶芸をモチーフにした『小杉焼と紅梅』を | ||
出品しました。 | ||
六三年は、七回女流展に『寒牡丹』、四三回春の院展に『窓辺』、同人展に『水仙の | ||
かたまり』、七三回院展には『薄雪紅梅』、三回燦光会および三回現美展に『紅梅と | ||
壺』、四回龍生会展に『獅子頭と白梅』、一二回清潮会には『紅梅と初代小杉焼』、 | ||
一六回旦虹会に『小杉焼と紅梅』、二四回悠々会には『鉄線花と壺』、青径会‘88 | ||
展に『胡蝶蘭と壺―キプロス』を出品しました。 | ||
平成元年には、八回女流展に『お正月』、四四回春の院展に『春望』、高島屋美術 | ||
部八〇年記念展に『薫春』を出品。七四回院展に出品した『静日』は富山県立近代美 | ||
術館に収蔵されました。四回燦光会展には『新春』、五回龍生会展には『薫』、青径 | ||
会‘89展には『新春』、一三回清潮会、一七回旦虹会には『牡丹』、二五回悠々会 | ||
には『太鼓徳利と紅梅』をそれぞれ出品しました。 | ||
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美術エッセースト小笠原洋子 |
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第十二回評伝(2009年 8月16日発行) |
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