| 郷倉和子の現況 第12回 |
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| 毎年一月中旬頃から咲く梅も開花の時期も違えば梅花や枝ぶりも少しづつ異なってい |
| きます。「今年はどんな按配に咲くのか、どんな新しい発見があるのか、歳を重ねてく |
| ると今まで気にならなかったものが見えてくるからね。ある意味では年を重ねるのも悪 |
| くないね」(和子証言)痛い足を引きずりながら庭を歩く和子の姿がそこにありました。 |
| 「寒」になると恒例の富士山取材、今年は東名高速の富士川インターからの取材。 |
| 「富士山はあまり近場で観ると偉大すぎて描きたくなくなる」と言って今年は富士山の |
| スケッチをせず車窓から眺めていました。帰途の車中で「富士山は少し遠くから見たり |
| 思い出して描ける富士山の方が作品になりやすいしそのほうが面白いのではないかし |
| ら!」(和子証言) |
| 春の院展には木喰上人作の如来像のイメージに梅花を添えた「花の精三」を出品。仏像 |
| を描いて4作目になるが、「制約の中で自由に描く難しさ」はいつまでたっても解消 |
| 出来ない。梅が化身のように描かれ、如来様もびっくりされたのではないでしょうか。 |
| 同次元で捕らえた世界。 |
![]() 第六十五回春の院展「花の精(三)」 |
| 4月末、庭の牡丹が咲き始めると風に揺らぐ牡丹をしきりに取材。そこには眼光鋭い |
| 視線が感じられた。何かを狙っているように思えた。画室には途中まで描かれた牡丹の |
| 試作が4.5点 これから何をやろうとしているのだろうか。 |
| 5月の連休には北海道から孫夫婦とひ孫がやってきてた。ひ孫と遊ぶ和子の姿は作家 |
| ではなく普通のおばあちゃん。とても楽しそうでした。 |
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| 6月には急に春から夏のような天気になったせいか、かつて見た事がないほど梅の木に |
| たくさんの実を付けた。梅雨時に大きく成長した実がボトボトと気になる音を立てて落 |
| ちる様子にも耳が遠くなった和子には何気ない様子。ちょと滑稽 な一幕だった。 |
| 画室では秋の院展出品の小下図の構想図が出来上がり大下図に入っていた。 |
| 足腰の痛い和子、本画が無事に仕上がるよう頑張ってほしい。 |
| 第12回 2010年7月20日発行 |