郷倉和子の現況 第4回
 
お正月の頃、庭に遊びに来る雀を画室のガラス越しで、しきりに観察。来客などで呼びに行くと「あーあー逃げちゃった。今、良い羽の形をしていたのに」などと家の者が叱られることしばしば。「冬の雀は寒さのためか羽をふくらましているからとても滑稽で可愛らしい」和子証言
 

白梅に雀
 
節分が明ける頃から春の院展の出品制作が始まります。今年も縦長構図に梅林を散歩する
母と娘をテーマにした風景画に挑戦しました。軸装のように縦長の空間を近景、中景、
遠景、として捉えるのではなく奥行きの深さを表現することで梅園の広さを感じさせたかったようである。
 
 

真冬の春
 
色々な花々が次から次へと咲く春から夏は花鳥作家にとって忙しい日々を送ることになり
ます。庭に咲いている花々、あっちから見たり、こっちから見たりしながら「この
花を切ってこの壺にさして頂戴 」ポイントをスケッチしてから色紙などに縁取りして着
彩してゆく日が続きます。
 
今年、秋の出品画は描き慣れた屋根と梅の屏風4曲半双屏風。 「梅と屋根瓦は相性がいいね」和子証言。梅樹から見下ろされているような構図は何を意味しているのだろうか。作品ならではのダイナミックさが感じられる。
家の質感と梅のやわらかな質感の違いが春の早朝の空気に溶け込んでいる。
 
 

爽春の朝
 
11月中旬には日本橋高島屋にて郷倉和子小品展を開催。 サブタイトルは「雅(みやび)
なる四季の花 」小品10点の新作展でしたが会場内は緊張感がみなぎり比較的評判が良かったようです。
 
11月下旬、今年の東京の紅葉は遅く、自宅の庭の草木等も紅葉しないで枯れてしまうので
はないかと思うほどの晩秋です。「昔に比べると四季の移り変わりがあわただしく思える
のは年のせいだろうかしらね」和子証言
 
 
第4回 2005年11月24日発行
 
 
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