郷倉和子の現況 第3回
 
昨年の夏は暑さや台風で大変な年でした。和子は歳を理由に今までより小 さい4曲半双
屏風を秋の院展に出品しました。描いた対象物は庭に植えてある白梅と雀をテーマとした
作品でした。
 

第89階院展「和やかな早春」
 
「雀は群れをなして庭の白梅にやって来て、やかましいほど楽しげにおしゃべりをしてい
ます。人の存在に気づくとみんな火がきえたようにシーンと静まりかえってしまいます。
白梅の枝、それぞれにも花びらがお話をしているかのように固まって咲いています。すこ
しの風が吹いても花どおしのお話が途切れてしまうようにも見えます。
私は何も邪魔が入らない和やかな春のひとときを描こうとしてみましたが、なかなか思う
ように行きません。」(和子証言)
 
秋には高島屋さんからお正月の飾り扇に富岳と紅白梅の図を描かせて頂きました。
 

扇面・原画

飾り扇
 
和子は 11月16日で満90才になりました。相変わらず足は痛いようですが、元気で
日々を過ごしております。今年の東京は紅葉が遅く、12月に入っても梅の葉が落ちませ
んでしたが12月4日の大風で一晩の内に梅の葉が全部綺麗に落葉しました。お天気で昼
の暖かい時には例年のごとく散歩方々花の付いていない枝や幹を見て回る日々が続いてい
ました。「昨年の大晦日には東京も雪になり早咲きの梅の蕾も縮かんで寒そうに見 えた
わね。」(和子証言)
平成17年元旦は昨日の雪が信じられないような晴天でしたが雪冷えのため 和子は庭に出
ませんでした。1月中旬には早咲きの庭の梅花を楽しんでいました。「梅花は3部咲きく
らいが一番きれい」(和子証言)と言いながら次々に咲く梅花を堪能していました。
 

庭の早咲きの紅白梅
 
節分の頃は大寒波の襲来でさすがの母も風邪を引き画室で花道家の鈴木 ひろ子さんが持
ってきてくれたしぼりのある美しい椿をスケッチするなどして過ごしています。
 
 
第3回 2005年2月6日発行

 

 
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